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そのリノベーション、ちょっと待った!

おかしなことになってない?

住まいの選択肢として、すっかり浸透してきた「リノベーション」という言葉。

 

中古マンションのリノベーションは、ちょっとしたブームを通り越すほどの勢いで、住宅・インテリア雑誌はもちろん、どこを見てもリノベーション。ネコも杓子も「リノベーション」の大合唱で、安さを売りにしていたリフォーム店、工務店、不動産会社、設計事務所、新たな形態のプロデュース会社、さらには新築マンションのディベロッパーまでもがリノベーションを謳っている。しかも、定額制リノベーション、リノベーションパッケージ、リノベーション賃貸、とバリエーションもさまざま

 

これほどまでに「リノベーション」だらけになっては、ユーザーはなにが何だかわからなくなってしまうのではないだろうか?リノベーションが単なる客集めの手段に成り下がってしまっては、せっかくの住まいの選択肢として有効な方法論であるリノベーションそのものが、単なる流行で終わってしまうのではないかと心配になってくる。

 

例えば、中古マンションの売り物件を見ると「リノベーション済み」物件がわんさか。

今まで中古物件の流通では、購入検討者の第一印象をアップさせるため、壁のクロスなどを張替え、表面的に化粧を施すリフォームなどをやってきている。これはちょうど、賃貸住宅の入居者の入れ替わり時に行う原状回復工事のようなものだ。リフォームを施した物件は「○年○月リフォーム済み」とチラシ等に記載され、「中古だけどキレイで、すぐに住める」ことを売りにしてきた。

しかし、ビジュアル先行のリノベーションという言葉が流行し、「リフォーム済み」という言葉では、どうも時代遅れでワンランク下の感じがぬぐえなくなってきた。そこで仲介業者は、「リフォーム済み」改め「リノベーション済み」と、チラシに謳うようになってきている。

 

一方、ショップやカフェのような内装や間取りで「個性」を売りにする者たちは、リノベーションの物件選びと称して、「ハコを見る」「味がある」など、古さを肯定する言葉をお洒落っぽく並べる。すっかりその気になったユーザーが高額なリノベーション費用を捻出するために、ひたすら安い物件を探し求める。個性的な空間は実現するかもしれないが、リノベーション自体が目的化される。ただリノベーションをするだけのために中古物件を購入することなど、本末転倒だ。

 

「リノベーション」という言葉あそびに、まどわされないように。

これから住まいを持とうと考える人が、「リノベーション=かっこいい」と踊らされてしまって、先々後悔することになってはいけない。

求めるものは住まいであり、暮らしの場。そして何より経済的資産価値として、自分たちの人生を豊かにしてくれるものでなくてはいけない。

 

中古物件の購入を考える人、中古物件を購入してリノベーションをしようかと考えている人にとって、リノベーション流行りの今は、逆に厄介な状況といっていいかもしれない。イメージ先行の言葉にまどわされず、まずは自分を知り、不動産を知ることがリノベーション成功への第一歩です。

 

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