おわりに
先人との対話、でもある
やっと建物が整ったのは、引っ越し前日だった。
そもそもタイトなスケジュールな中、想定外の出来事も多く、ドタバタと慌ただしい工事だったが、職人さんたちが皆、はしゃいでいたのが印象的だった。めったに触ることのない年代物の建物を前に、ハプニングさえも楽しんでいるようだった。
もうこの世にはいない先人の仕事の跡、今では見ることのない金物など、ちょっとした遺跡発掘のようだった。
この建物を建てた大工は、どんな人だったのだろう。充分な重機も工具もない時代の工事は、どんなだったのだろう。この蔵はどんなふうに使われていたのだろう。想像は尽きない。
出てきた釘
右の写真は、棚を壊した時に出てきた和釘。角錐状で、頭の形も現在の釘とは異なる。
この建物を楽しもう
そんなこんなで事務所の改装も一段落した。
今では、昔からずっとここにいるかのように、この建物に慣れ、愛着を感じている。
当分は、あるモノを使いつつ、アレンジを加えていきながら、この建物と付き合っていこう。
1階に置いてある栗の打合せテーブルは、前回の事務所移転の際、家具工場の社長がお祝いにつくってくれたものなのだが、面白いことに、まるでここに置くためにあつらえたようにしっくりと納まっている。ここに来ることを知っていたかのようだ。
以上が、我々のドタバタ事務所改装記。
国道19号線「平田町北」交差点を西へ。蔵らしくないうす茶色の壁と、白いポストが目印です。お近くにお越しの際には、是非お立ち寄りください。